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ボリス・チリキン級補給艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ボリス・チリキン級補給艦
Large ocean tanker "Dnestr" in 1993
基本情報
艦種 補給艦
命名基準 ソ連の科学者の名
建造所 フィンランドの旗 ラウマ、ラウマ・レポラ造船所[1]
運用者  ソビエト連邦海軍
 ロシア海軍
建造期間 1973年 – 1979年
就役期間 1974年 –
建造数 6隻
次級 ドゥブナ級補給艦
要目
基準排水量 6,950t[2][3]または11,185t[4]
満載排水量 22,460t[5]
全長 162.3m
最大幅 21.4m
吃水 9.3m
航海日数 90日間
搭載能力 #積載能力参照
兵装
レーダー
  • MR-302「ストラットカーブ」
  • ドン2
  • MR-212/201「ヴァイガチU」
  • テンプレートを表示

    ボリス・チリキン級補給艦[注 1](ボリス・チリキンきゅうほきゅうかん、英語: Boris Chilikin-class fleet oiler、ロシア語: Танкеры проекта 1559-В)はソ連海軍補給艦であり、現在はロシア海軍の補給艦である。

    設計[編集]

    ソ連海軍が世界中に進出して戦闘を行うように想定され、ソ連海軍に大型のキエフ級航空母艦が登場すると、563型補給艦よりも優れた能力を持つ、かなり大型の補給艦を新たに作る必要が出てきた。

    1967年、バルツドプロイェクト社(現バルチック造船所)は民間の1559計画をベースにした1559V計画海上給油船の設計を担当した。S.N.シュミロフが主任設計者に、海軍からU・D・マクシャンチコフ中佐が主任監督者に任命された。

    電子装備[編集]

    就役当初、航海用のレーダーは商船用の「オケアン」だったが、1980年代初めに艦艇用の「ドン」とML-212/201「ヴァイガチU」に換装された[1]

    積載能力[編集]

    燃料1万3,000tと弾薬400tなど[5]、または8,250tの重油と2,050tの軽油、1,000tのジェット燃料、450tのを積載することができる。

    兵装[編集]

    艦首にAK-725 57mm機関砲ロシア語版AK-630 30mm多連装機関砲の搭載スペースを各2ヶ所有し、実際に装備した時期もあったが、いずれも短期間で撤去された[1]

    運用[編集]

    就役後、ドゥブナ級補給艦ベレジナと共に艦隊の長距離遠征航海に頻繁に随行した。

    ソ連崩壊以降もロシア海軍に在籍し、艦齢が40年に達する2010年代には退役する艦も現れたが、2020年代に入っても運用されている艦もある。2020年8月6日、太平洋艦隊所属の「ボリス・ブトマ」がウダロイ級駆逐艦2隻と共に対馬海峡を抜け、東シナ海へ航行した[8]2022年11月13日には、スラヴァ級ミサイル巡洋艦ヴァリャーク」などと共に与那国島沖を北東へ向かうのを海上自衛隊が確認し、「ボリス・ブトマ」を含む艦隊は与那国島と西表島の間を北上し、P-3C哨戒機ととわだ型補給艦「とわだ」が接触して情報収集にあたった[9]

    同型艦[編集]

    艦名 建造者 就役 所属 状態
    ボリス・チリキン バルチック造船所 1970年10月 黒海艦隊 2004年退役
    ウラジーミル・コレチツキー 1972年 太平洋艦隊 2012年退役
    セルゲイ・オシポフ 1973年 北方艦隊 現役
    イワン・ブブノフ 1975年7月19日 黒海艦隊 現役
    ゲンリク・ガサーノフ 1976年 北方艦隊 2015年退役
    ボリス・ブトマ 1978年10月30日 太平洋艦隊 現役

    脚注[編集]

    1. ^ ロシア語版ウィキペディアでは「中型タンカー(Средний Морской Танкер)」と呼ばれているが、ここでは雑誌『世界の艦船[6][3]および統合幕僚監部日本語表記によった[7]。『ソ連海軍事典』は「補給給油艦」としている[1]

    出典[編集]

    1. ^ a b c d ノーマン・ポルマー英語版:編著、町屋俊夫:訳『ソ連海軍事典』 原書房 1988年 ISBN 4-562-01975-1 P.386
    2. ^ 「日本近海のロシア艦船情報」 『世界の艦船』通巻472集(1993年11月号) 海人社 P.33
    3. ^ a b 「ソマリアに向かうロシア艦船 対馬沖を通過!」『世界の艦船』通巻707集(2009年6月号) 海人社 P.134
    4. ^ 「ロシア軍艦5隻 地中海遠征を終えて対馬海峡に出現!」 『世界の艦船』通巻793集(2014年3月号) 海人社 P.14 – 15
    5. ^ a b 「写真特集1 ソマリア沖対海賊部隊の全容」 『世界の艦船』通巻703集(2009年3月号) 海人社 P.29
    6. ^ 「ソ連太平洋艦隊の現有艦艇」 『世界の艦船』通巻325集(1983年8月号) 海人社 P.131
    7. ^ “ロシア海軍艦艇の動向について(RS スラバ級など3隻 対馬南下)”. 統合幕僚監部. (2019年10月8日). https://www.mod.go.jp/js/Press/press2019/press_pdf/p20191008_01.pdf 2020年8月8日閲覧。 
    8. ^ “(お知らせ)ロシア海軍艦艇の動向について”. 統合幕僚監部. (2020年8月6日). https://www.mod.go.jp/js/Press/press2020/press_pdf/p20200806_01.pdf 2023年2月19日閲覧。 
    9. ^ “(お知らせ)ロシア海軍艦艇の動向について”. 統合幕僚監部. (2022年11月14日). https://www.mod.go.jp/js/pdf/2022/p20221114_02.pdf 2023年2月19日閲覧。 

    関連項目[編集]